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社団法人足利青年会議所
2008年度 理事長所信


2008年度 社団法人 足利青年会議所
理事長 桑山 弘和


『地域社会の役に立つ、足利のためのJCへ』

社団法人足利青年会議所(以下、足利JCと省略致します)は、本年いよいよ創立50周年を迎えます。半世紀という歴史の重みを改めて実感すると共に、その間、常にその時代の社会問題と真正面から向き合い、その問題解決のための運動を展開され、数多くの実績を残されてきた先輩諸兄に敬意を表します。また、この50年間、我々足利JCの趣旨に賛同し、ご支援・ご協力をいただいてきた全ての方々に改めて感謝の意を申しあげます。そして、この50年間の連続を絶えることなく、今後50年、100年へと継承していくため、新生足利JCとして生まれ変わらなければならないという必要性・使命感を強く感じております。
 さて、我々JCは終戦から間もない1949年に東京で、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という設立趣意のもと発足して以降、「明るい豊かな社会」の実現を目指し活動してまいりましたが、果たして現在の日本は、それが実現しているでしょうか。戦後の混乱と貧困の時代から高度経済成長を遂げ、世界有数の経済大国となり、その後のバブル経済の謳歌と崩壊を経験し、平成のデフレ不況後の現在は、堅調ながらも景気が回復し、世界の貧困や戦乱で苦しむ国々と比較すると、経済的には「明るく豊かに」なっているように見えます。しかし、この戦後60数年間で、どこか我々国民の心が潤いを失い疲弊し、非常に殺伐とした社会になっているように思われます。昨今の実の家族間での悲惨な殺人事件、利益追求のため法律の範囲内なら何をやっても構わないという行き過ぎた自由主義・個人主義、そのため消費者を平気で騙すという企業・経営者のモラルの低さ、また、事務所費等の政治資金や国民生活を保障する公的年金の杜撰な管理等に見られる政治・行政の無責任さ、これらの社会問題の一面を見る限り、とても「明るい豊かな社会」に近づいているとは言えないと思います。
 一方、我がまち足利の現状は、将来の道州制を見据えての独自路線とは言え、先の平成の大合併の波に乗り遅れた感じは否めなく、長年、県内2位を保っていた人口も小山市に抜かれ、その構成比も
65歳以上の老年人口(21.7%)が15歳未満の年少人口(13.8%)を大きく上回り(平成17年調べ)少子高齢化が如実に表れ、製造出荷額や商品販売額も減少し続けています。若者が少ないためか、経済状況が芳しくないからか、まちに活力が感じられないように思います。また、それらを解決すべく打ち出された行政の諸施策も、直ぐに事態が好転する結果には至っていないように思います。一方で、そのようなまちの状況だけでなく、足利市民の心に目を移してみても、例えば、全国で問題となっている学校給食費の未納に関して、足利市でも多くの未納者が実在し、我がまちも何か心が渇ききった社会になってしまっているのではないでしょうか。
 また、足利JCを取り巻く環境も、厳しい状況が続いております。創立30周年の「足利未来倶楽部」、40周年の「パートナーシップによるまちづくり」と、数々のまちづくり運動を展開し、足利JCの活動も市民に理解され一定の実績を収めましたが、その後、会員数は減少の一途をたどり、各個人の負担感は増え、メンバーの数的・モチベーションの両面で、外部へ向けてインパクトを与えるような思い切った活動展開ができない状況が続いております。一方で会員の資質向上やまちづくりのスキルアップのための内部研修を積極的に取り組み、昨年度には、今後の足利JCの方向性について会全体としてのコンセンサスを図ってきました。
 そこで、そのような時代に求められているJCとは何かを考え、我々足利JCは、今こそJC本来の目的に回帰し、「地域社会の役に立つJC」を目指します。公益法人制度が大幅に変わる本年度を機に(本年度中に法律が施行、「公益」および「一般」への移行期間5年間)、「真の公益法人」を目指し、より「公益性」を追求していきます。地域社会の、足利のまちの発展に寄与することを最大限に考え、社会的貢献度を高めていくことで、社会的信用度も高まることとなり、「地域社会の役に立つ、足利のためのJC」に生まれ変わることができると確信しております。また、足利JCの存在意義を明確にし、市内に多数あるまちづくり団体、NPO等との差別化を図り、「足利JCにしかできない活動」を展開していきます。
 その活動とは、「真の豊かさ」と「真の民主主義」の実現のための活動です。この渇ききった殺伐とした社会に、経済的な発展に裏打ちされた物質的な豊かさではない、「心の豊かさ」を実現する「心の教育」を本気で推進していきます。そして、JC本来の目的でもある「市民意識変革運動」に注力し、「真の民主主義」を実現すべく、真の住民参画型の社会を確立するための活動をしていきます。
 そのためには、この50周年という節目を機に、ここ数年来の内部研修にて培ってきたエネルギー・スキルを発揮するため、調査・研究だけに終わることなく、外部へ一歩踏み出して、「地域社会の役に立つ、足利のための」具体的な活動をしていきます。それは、決して我々足利JCが単独で出来るものではなく、市民や市内の他団体との継続的な密着度のある活動である必要があります。そうすれば、我々足利JCの目指す方向性・まちづくりにかける想いが、足利市全体に通じ、40周年でも掲げた「パートナーシップによるまちづくり」、あるいは現在、市が推進している「市民と行政の協働のまちづくり」への道が真に開くものと確信しております。かつて、この足利には「足利友愛義団」という足利JCのルーツのような存在がありました。弱冠24歳で足利銀行を創設した荻野萬太郎氏を始め、信念と道義を基に、足利のまちの発展のために立ち上がった若者たちがいたのです。今でも市内の至る所に、その進取の精神は脈々と引き継がれています。そんな精神性を持った多くの市民と共に活動していき、「地域社会のための、足利のためのJC」へと生まれ変わります。



【50周年“栄光の時”は、スタートライン】
2008年度、足利JCは創立50周年を迎えますが、それは大きな節目であると同時に、新たなスタートラインでもあります。創立45周年の際に、まちづくりの指針として「教育と環境」を掲げましたが、50周年までの継続的な運動として展開されて来なかったという反省も含め、2007年度の創立50周年準備特別委員会で得た会全体のコンセンサスを継承し、今後の足利JCが進むべき方向性を、中期ビジョンという形で明確に策定し、内外に発信していきます。そして、今年度の全ての事業及び活動が、この中期ビジョンを具現化する最初の一歩であると位置付け、この大きな節目に足利JCの全精力を注いでいきます。特に、記念事業については、具体的に市民および他団体を巻き込み、今後の足利に大きなムーブメントを起こすような、きっかけの事業にしていきます。また、常に「おかげさまで50周年」という感謝の念を忘れず、式典・記念事業等に取り組みます。



【「真の豊かさ」の実現に向けて】
「真の豊かさ」である「心の豊かさ」を実現すべく、家庭、地域、学校で充分に教えられていない「心の教育」を本気で推進していきます。現在、コミュニティの崩壊が叫ばれていますが、地域だけでなく家庭という最小単位のコミュニティまでも機能不全に陥り、家族の絆が薄れ、コミュニケーション不足等により、様々な社会問題が起こっています。本来、家庭で教えるべき、人間として生きていく上で必要な「命の尊さ、思いやりの心、正義を貫く心、人生の目的、本当の幸せ」等々の重要性・価値観を次世代の足利を担う子供たちだけでなく、我々責任世代である親・大人たちにも、改めて訴えかけていくことが必要です。政府の教育再生会議等でも道徳(徳育)の教科化が検討されていますが、子供たちに高い道徳観・規範意識を求めるその前提として、それに値する社会が我々親・大人たちの努力によって醸成されていなければなりません。特に本来、絆が深いはずの家族・友人・恋人・同僚間での殺人、バーチャルでのゲーム感覚の殺人、いじめによる自殺、報復の連鎖による無差別テロ等が増えている今こそ、一番大切だと考える「命の尊さ」を今一度、広く子供から大人まで含めた市民全体に訴えかけ、今ここにある自分の「命」は親・祖父母・祖先から大事に引き継いできたバトンであることを再認識していただきます。そして、それを柱とした「心の教育」を市民と共に推進するシステムを構築していきます。



【「真の民主主義」の実現に向けて】
「真の民主主義」とは、市民が「自分たちの社会は、自分たちが参画して創る」という自覚のもと、その声が充分に政治・行政の場に反映されることだと思います。市民の「政治・行政」への無関心を変え、「政治・行政」を「身近なもの」として捉えることのできる機会を提供し、「協働のまちづくり」の推進役として、活動していきます。「政治」に関しては、マニフェスト型公開討論会の推進により、真の国民主権を確立していきます。それは、政治的に中立公平な組織であるJCだからこそ、できる事業です。有権者の政策本位による候補者選択を可能にして、旧態依然とした利益誘導型の選挙から脱却でき、市民の政治への参加意識が高まり、投票率向上へも繋がると考えます。開催方法や更なる手法の調査・研究をして、来るべく全ての選挙(例えば2009年の市長選や突発的な選挙)に対応できるよう、万全の準備を整えていきます。また「行政」に関しては、「市民討議会」のような「市民と行政が協働してまちづくりの方向性を決め、実践していく」という新しい市民参画の手法について、調査・研究を進めていきます。そして、実際に足利市が抱えている諸問題について、市民から幅広く意見を徴収しフィードバックする、広聴広報の機会を提供していきます。



【新時代を切り拓く、多くの仲間を】
50周年を機に、足利JCは今後大きく外部へ事業展開していきます。そのためには、志を同じくした多くの仲間の力が必要です。このまま会員が減少して行けば、思うようなまちへ向けた事業展開も出来なくなります。OBの諸先輩方や外部団体、あるいは多くの市民と接触する機会が多くなり、また、会全体のモチベーションも揚がってくるこの50周年という千載一遇の好機を活かし、我々の活動を自信を持ってしっかりとアピールし、会員全員が危機感を持って、共に足利の未来を切り拓く新しい仲間を増やしていきます。会員拡大についての戦略を明確にし、外部への積極的なアプローチを行っていきます。そして、新入会員には、Jayceeとしての基礎基本の徹底、外部で新戦力として活動していくための研修、また、全会員には、市民に範を示せるような更なる人間力を磨くための研修を行っていきます。



【50周年の発信と真の公益法人に向けて】
周年年度である本年度は、より対外へ向けた広報活動の充実が必要です。周年実行委員会と連携を密にし、ホームページや広報誌並びに新聞やミニコミ誌等のメディアを活用し、より迅速かつ効果的で正確な広報活動に努めます。併せて、公益法人改革を見据えた運営面の諸改革を実施し、真の公益法人たる組織に移行する準備を整えていきます。また、全メンバーに向けて、公益法人改革に関する情報提供、公益社団法人になる意義の訴えかけを継続的に行っていきます。また、通年以上に日程が過密になると思われ、スケジュール管理等の連絡調整は万全にしていきます。



【より市民に開かれた主管事業に】
足利文化財パトロール隊と足利尊氏公マラソン大会の二大主管事業においては、両者とも30年を超える歴史があり、行政や諸団体、多くの市民のご理解・ご協力を得て継続しているのが現状ですが、我が足利JCの体力的な面等を考慮し、総合的に判断した場合、現在のままの状態で延々と継続していくことは不可能であります。数年後の他団体等への移管(全てまたは一部分)も視野に入れながら、両者とも、市民と直接触れ合える「協働のまちづくり」の実践の場と考えて、より多くの市民・諸団体を運営側に巻き込んだ活動をしていきます。そして、会全体として今後の方向性について、コンセンサスを得るための議論を継続して行っていきます。



【生まれ来る子供たちのために】
我々JCの活動は、何のためにやっているのでしょうか。「明るい豊かな社会」とは、いつのことを想定していますか。私は、もちろん現在の自分たちの幸せも願いますが、やはり自分の子供やこれから生まれ来るであろう子供たちのために、今の社会を少しでも「明るい豊かな社会」に近づけたいと思い、日々活動しているのです。足利のこれから生まれ来る子供たちが、「希望と誇り」を持てるような足利にするために、一年間、誠心誠意努力していきます。


「自分の番 いのちのバトン」
父と母で二人 父と母の両親で四人 そのまた両親で八人
こうしてかぞえてゆくと 十代前で千二十四人 二十代前では−?
なんと百万人を越すんです
過去無量の いのちのバトンを受けついで
いまここに 自分の番を生きている
それがあなたのいのちです それがわたしのいのちです



これは、私の大好きな足利が生んだ書家、相田みつをさんの詩です。自分の命はご先祖様からバトンを受け継ぎ、ここに一つしか存在しない大切な尊い命です。人生二度なしです。その「命の尊さ」を胸に刻み、大切な一生の中のたった一度しかない2008年度という一年間を、またその積み重ねである一日一日を一所懸命に生きましょう。2008年度は、もう机上の空論はいりません。行動あるのみです。足利のため、足利のこれから生まれ来る子供たちのために、決して立ち止まることなく、青年らしく未来へ向かって力強く踏み出し、とにかく具体的に動いて、共に達成感と充実感と喜びに満ちた一年を過ごすことで、我々が「地域社会のための、足利のためのJC」へ生まれ変わり、この足利が「真の豊かさと真の民主主義が確立されたまち」へと発展していくと確信しています。




【2008年度基本方針】
1. 今後の足利JCが進むべき方向性を中期ビジョンとして策定、発信、及びその起爆剤となる記念事業の実施。
2. 全市民を対象に「命の尊さ」の訴えかけを中心とした「心の教育」の推進、及びそのシステムの構築。
3. マニフェスト型公開討論会の開催に向けた調査研究、実施、及び足利市の諸問題に関しての広聴広報の新たな手法の調査研究、実施。
4. 積極的な外部へのアプローチによる会員拡大、及び新人対象のJayceeとしての基礎基本や外部で活動するための研修、全会員対象の人間力を磨く研修の実施。
5. 外部への積極的な広報活動の実施、及び公益法人改革を見据えた運営面の諸改革の検討、実施。
6. 足利文化財パトロール隊と足利尊氏公マラソン大会の継続支援、及びより市民に開かれた運営の検討、実施。また、会としての今後の関わり方についての継続的な検討。



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