理事長所信(2025年度)

2025年度 一般社団法人 足利青年会議所 理事長 笹形彩乃

1949年「新日本の再建は、我々青年の仕事である」と志を掲げ、戦争の傷跡が街にも人々の心にも深く残る中、志高き青年達によって日本の青年会議所運動は始まりました。そして、1958年私たち一般社団法人足利青年会議所(以下足利JC)は、栃木県内で最初の青年会議所として発足し、明るい豊かな社会の実現を理念とし、活動してまいりました。近年では、台風19号や新型コロナウイルスの感染拡大などの社会問題を解決するべく様々な運動を展開し、時代に即した活動を志し、「奉仕・修練・友情」のもと、歩みをとめることなく進んできました。今日までひとづくり、まちづくりの活動を通し、永きにわたり歴史を刻みご尽力された先輩方には、心より敬意を表します。そして、私たちは諸先輩方から引き継いだ歴史と伝統を強く心に刻み、このまちの発展に寄与できるよう、さらなる高みを目指して邁進していかなくてはなりません。
 今日本は、経済成長の糸口を見つけられないまま長い低迷期に入っています。2024年世界幸福度ランキングでは、前年より大きく下げ、先進国の中では下位に留まっております。生活に彩りを与えてくれるものは、手に入りやすくなりましたが、物価上昇や賃金の伸び悩み、そして精神的ストレスや人間関係のコミュニケーション不足が、幸福度低下の主な要因とされています。「幸福と健康の維持に本当に必要なものは何か」私たちを幸福で健康にするのは、富でも名声でも無我夢中に働くことでもなく、良い人間関係に尽きるのではないかと考えます。大切なのは人間関係の質であり、温かな人間関係を築くうえで必要となるのが、自分と意見や立場が異なる人たちに、どれだけ理解を示すことができるかという「寛容さ」ではないでしょうか。
そして、将来に不安を抱かざるを得ない状況であるからこそ、私たちが、明るい豊かな未来を創造し、希望を持つことが必要なのだと考えます。現状に満足することなく、次世代により良い社会を残すことが私たちの責任でもあります。戦後の復興を推し進め、まちづくりを推し進めてきた先人たちの志を継承し、現状に満足することなく、次世代により良い社会を残すことが、私たちには求められていると考えます。

【未来を見据えたまちづくり】

足利市は、持続可能なまちづくりを進めていく目標として、基本理念や目指す将来都市像を達成するための指針として、令和4年度を初年度とする第8次足利市総合計画が進められています。私たちは、明るい豊かな社会の実現を目指して様々な事業を行っておりますが、足利市の政策と全く違う方向性であるならば、それは未来を見据えた運動になりえないのではないかと考えます。私たちが行おうとしている事業が、市民に求められているものなのか、足利市の発展に寄与しているのかを今一度熟考し、行政や関係諸団体の方々との連携を整え、理解を深めることで、よりよい事業を行うことができるのではないかと考えます。市民からいい事業だったと言われることは、私たちにとって心に残りますが、本当の意味でよい事業とは、「私たちがその事業を引継ぎたい」「私がやってみたい」と言ってもらえる事業ではないかと思います。そして、まちづくりの原点として持ち続けるべき大切なことは、楽しさや感動、胸が躍るようなことです。ひとは魅力あるものに惹かれ、情熱によって動かされます。私たちの心が躍らなければ市民を巻き込むことは出来ません。市民と共に地域社会の持続的な発展を目指し、希望をもたらす変革の起点を創ることが出来れば、JC運動の先に社会のよりよい変化を生みだすことができるはずです。私たちの事業を通し、市民と共に、より持続可能な地域へと未来のために発展させていきます。

【継続的な会員拡大】

志を同じくする会員を拡大することは、組織を維持、発展していくために必要不可欠な取り組みです。地域の先頭に立ち、活動していく同志を迎えることは、運動の幅を拡げ、波及することができ、明るい豊かな社会の実現に繋がるものとなります。会員拡大は、一部の会員が一年走り回って、燃え尽きて火がきえてしまう。これでは、継続的な会員拡大とは言えません。皆が人任せにしてはいけないのです。まずは、私たちの身近な方たちにJC活動を熱く語り興味をもってもらうことが重要であると考えます。会員拡大を通して、私たちが一丸となって継続的に取り組めるよう展開して参ります。
そして、もう一つ重要なことは、新入会員のフォロー体制です。私が入会した際に、寄り添い支えてくれた先輩方がいました。引き続きJCにはそのような存在が必要です。皆で率先してコミュニケーションをとり、足利JCの魅力を通して、参加したいと思って頂けるよう取り組みます。委員会が中心となり旗を振り、新入会員の出席率や定着率にこだわり、会員拡大とフォロー活動が好循環を生み出せるよう活動していきたいと思います。会員拡大は、沢山の方と回数を重ね交流し、どれだけの人を巻き込めるかが重要です。そして、私たちの活動の中で最も分かりやすい成果でもあります。私たちが、熱意を持って活動に打ち込み、魅力的で輝ける存在であることが、会員拡大を成功に導くと確信しています。

【時代に即した強固な組織運営】

青年会議所のミッションは、「青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供すること」です。私たちは、その使命を忘れることなく会員が成長を実感できるようにしていかなくてはなりません。青年会議所で活動する私たちが、JC運動の価値を正しく理解し、共感していなければ、青年会議所の理念を地域に伝播させることは出来ません。私たちは、各々の役割や目標、目的を明確にし、組織内の共通認識を広めることで、活動に対する姿勢の変化を生み出し、その先にある団体価値の向上に繋げて参ります。
そして、組織運営として、これまでの取り組みが当たり前と信じ続けるのではなく、果たして本当に必要なのかを見つめ直し、メリット、デメリットを踏まえ、時代に合わせて変えていく柔軟な運営を行います。組織運営の意義を見つめ直すことで、多彩な価値観をもつ会員が前向きに活動できる環境整備に取り組みます。まずは、事務局が会員の様々なニーズに迅速な対応ができるよう組織の中心となり、会員の心の拠り所になれるように運営していきます。また、情報発信も引き続き行い、私たちの活動の意義を重視した有効な情報発信を心掛けていきます。

【結びに】

私は、青年会議所の活動の中で様々な役職を経験させて頂きました。しかし、その全ての役職においても順風満帆に終えたことは、一度としてありません。困難に直面する度に、時には何のために活動しているのだろう、なぜ役職を受けてしまったのだろうと後悔してしまうこともありましたが、私が壁にぶつかる度に気づきを頂き、本音で議論を重ね、支えて頂いたことで、仲間の大切さに改めて気づかされました。苦楽を共にし、仲間たちに支えられた経験は、青年会議所の魅力であり、私の財産であります。私たちが今できることは、真剣に取り組むことだと考えます。真剣に取り組むからこそ、悔しいし、嬉しいし、楽しいのです。振り返れば道は一つ。自分がどれだけ真剣に取り組んできたかで、「これで良かった」と思える時が来ます。そして、自ら勇気を持って恐れずに挑戦し、失敗や成功の経験をする、それがおのずと自信へと繋がります。だからこそ私たちは、JAYCEEとして、人々の背中を押し、勇気を与える存在でありたい。どんな困難にも立ち止まることなく、強い結束力で多くの志をもつ仲間と走り続けます。永い歴史を紡いでこられた諸先輩方の情熱や努力を無駄にすることなく受け継ぎ、未来へ繋げていく。このまちで志を同じくする仲間と共に走り続ける。それこそが私たちが目指す未来を創る唯一の道だと信じています。これらの使命を胸に、一人ひとりが当事者意識を持ち、一歩を踏み出し、未来へ繋ぐ「絆」の輪を広げていきましょう。
 

2025年度 基本方針

  1. 私たち会員が足利JCを思い活動すること
  2. 各々の役割や立場において目標目的を定め、自他の成長に努めること
  3. 利他の精神で仲間を思いやり、真剣に活動に取り組むこと
  4. 会員拡大に全会員で携わり活動すること
  5. 足利市の発展に寄与すること